2024.5.9
5月8日、午後1時から2時30分までの1時間30分、参議院の憲法審査会を傍聴してきました。8会派(自民、立憲・社民、公明、維新、国民、共産、れいわ、沖縄の風)各7分の意見表明と個人の意見表明各3分間話を聞いてきました。
早く改憲案を提起すべきだとしていたのは維新でした。時間も金もかけた、改憲案ができていないのは怠慢だというのです。審査会の様子をNHKで中継するべきだとも言っていました。私も中継には賛成ですが、維新はその正体がばれるのが心配ではないのだろうかと思いました。私は維新の基本姿勢も創設者たちも嫌いなのです。物は知らないし、論理は無視するし、倫理観は低いし、目先のことしか言わないからです。
裏金にまみれた議員が沢山いるのに、それを棚に上げて改憲を進めるのはおかしいという意見が、立憲・社民、共産、れいわから出ていました。れいわの山本太郎議員は「犯罪者集団」にそんな資格はないと言っていました。不穏当発言だとして幹事会で議論されるようです。 彼の話を聞くのは2回目だけれど、私は彼の話は好きです。共産党の山添議員の話も引き込まれるように聞くことが多いけれど、山本さんの話は耳に入りやすいのです。ただ、言葉を選んだ方が無用なトラブルは少なくなるだろうとは思います。
社民の福島議員は、裏金議員を除けば、各議院の改憲派は3分の2を切るだろうと言っていました。なるほどそうなのかと感心しました。
立憲の辻本議員は、裏金議員が審査会に出ていることを暗に非難していました。「そうだ」との掛け声が飛んでいましたが、私は誰か分からなかったので名指しして欲しいと思いました。
自民党佐藤正久議員(元自衛隊の髭の隊長)は、緊急事態に際して参議院緊急集会がほんとうに機能するのかどうか、論点整理をするべきだと言っていました。公明党の西田議員も同趣旨のことを言っていました。立憲の小西議員もその点は大事な論点だと言っていました。緊急集会は参議院の最も重要な機能ですから、その議論は不可欠です。この論点での審査が進むかもしれません。緊急集会があれば緊急事態における議員任期延長など不要だという結論を出して欲しいて思っています。その議論に時間をかければ、改憲発議の時期は遅れます。参議院の与党議員の足を止める必要があるし可能かもと思いました。
共産党の仁比議員は、喫緊の課題は憲法の人権条項を実現することだとして、例えば、裁判所が違憲だと言っている同性婚などについての議論をするべきだと言っていました。改憲よりも憲法の実施が先だろうという立論です。「さすが、仁比くん」と思って聞いていました。
LGBTQの当事者だという立憲の石川大我議員も同性婚について触れていました。こういう場所で少数者の意見を堂々と言えることはうれしいと言っていました。心がこもっていました。
地方自治法の改正は地方自治を否定するものだという議論もされていました。木村草太さんの意見を引用する議員もいました。これも必要な議論だと思います。
記憶に残ったのは、ある自民党の委員が、ウクライナ憲法には緊急事態条項があったから、戒厳令も出せたし、選挙の先送りも可能だったので、現在のような状況に収まっている。もしなかったら、もっと混乱していただろう。だから、日本にも緊急事態条項が必要だと言っていたことです。
ところで、佐藤正久氏は、日本列島は地政学上、最も危険な場所だとしています。中国やロシアについては、こんなことを言っています。
太平洋に出ようとするときに、通せんぼするように日本列島がある。ロシアや中国からすれば、「あぁ、邪魔だ。日本が自国領ならスムースに太平洋に出られるのに」と、地団駄踏みたい気持ちでしょう(『知らないと後悔する日本が侵略される日』幻冬舎新書、2022年)。
彼らは、中国やロシアが日本を攻めてくることを前提に物事を考えているのです。だから防衛力を強化しようというのです。どうすれば攻めたり攻められたりしないようになるかという問題意識はないようでする。どうしても武力(米国の「核の傘」も含め)が必要だというのです。彼は本気でそう思っているのです。それが国と国民を守る唯一の方法だというのです。そして、そういう人は決して少なくないのです。
もう一つ。山本太郎議員は、現に発生している災害被害に具体的対策を講じない政府や与党に緊急事態を語る資格はないとしていました。無策の災害をいくつか挙げての議論でした。与党批判だけではなく野党に対する批判も言っていました。支持者が増えるのは無理もないなと思って聞いていました。
あっという間の1時間30分でした。皆さんが原稿を用意していて時間を守っていました。納得できない意見はありますが、真剣さは伝わってきました。貴重な時間でした。
傍聴席に着くまでにいろいろチェックがあることはいかがなものかと思うけれど(とにかく面倒だった)、議員の皆さんの生の声を聴けたことはよかったです。ぜひ、多くの皆さんに傍聴して欲しいと思いました。
私たちは主権者であり、憲法改正権者であることは忘れないようにしたいと思っています。この国の未来は自分たちで創らなければならないのだから。(2024年5月9日記)
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