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「核兵器廃絶」と憲法9条



2024.8.9

「台湾有事」の正体
―対中戦争の準備を止めよう―

進められている「対中戦争」の準備
 政府は、南西諸島だけではなく、本土の自衛隊基地の強化、米軍と自衛隊の一体化などを進めている。官民を問わず防衛秘密が増え、学術会議は攻撃され、自治体への政府の「指示権」が強化され、軍事費は聖域とされている。
 その理由は、中国、北朝鮮、ロシアという「独自の歴史観・価値観」を持つ国が、日本の安全保障を脅かしているので、それと対抗するためだとされている。
 更に、自由で開かれたインド・太平洋地域を含む国際秩序を米国との同盟や同志国との連携を強めながら確保するためとも言われている。日本の安全保障だけではなく「民主主義国」と共同しての「既存の国際秩序の維持」という目的もあるのだ。
 そして、現在の中国は、我が国と国際社会の「深刻な懸念事項」であり、「我が国の総合的な国力と同盟国・同志国等との連携により対応すべきものである。」とされている。
 その上で、「台湾は大切な友人」なので「一方的な現状変更や各種事態の生起を抑止するため、自衛隊による米軍艦艇・航空機等の防護といった取組を積極的に実施する。」とされているのである。

 このように、現在進行している戦争準備は台湾をめぐるものであり、日本の自衛のためなどではないのだ。これが「台湾有事」の正体である。政府は、台湾のために日本を戦争する国にし、最悪の場合は、核攻撃を招くような危険な政策をとっているのである。
 そもそも、台湾の人たちが、どのような政治体制の下で生活するかは台湾の人たちに任せるべき事柄であって、私たちの命や自由や財産を危険にさらすような問題ではない。台湾を植民地支配し、中国大陸を侵略して、中国の民衆に塗炭の苦しみを与えたことに対する反省と謝罪は必要であるとしても、私たちが台湾のために犠牲を払う理由はない。反省や謝罪を拒否する諸君が、台湾支援をいう姿は醜悪でしかない。
 私たちは、政府が中国を念頭に、米国などと共同して、軍事力を増強していることを見抜き、中国との間で「熱い戦い」など、絶対起こさないよう運動を強めなければならない。そうしなければ、沖縄の人々が、今度は中国軍による攻撃で多くの犠牲を払うことになるだけはなく、本土の人々も核ミサイル攻撃の対象とされるであろう。もちろん、中国本土や台湾での被害も甚大であろうが、軍事産業はほくそ笑み、軍人は「どや顔」で闊歩することになる。

台湾の人たちはどう考えているのか
 ところで、台湾の人はどう考えているかである。そのことを少しでも知りたくて、5月22日~26日の5日間、日本AALAが企画した台湾・金門島、花蓮市をめぐる「平和のための市民交流の旅」に参加した。この時の体験を少し再現しておく。

 この時期は、丁度、中国が台湾の頼清徳新総裁の姿勢に反発して軍事演習をしている最中だった。もちろん、台湾でもニュースになっていたけれど、現地のガイドは「いつものことです」として緊張感はまったくなかった。金門島出身の琉球大学への交換留学経験のある青年も、普通に台北と金門島を行き来して(飛行機で片道1時間10分程度)、私たちを案内してくれた。
 彼らには緊張感など何もなかった。ホテルで見たNHKニュースの大騒ぎは何なのかと思ったほどである。

 台北では、国立台湾中央研究院の研究者と交流した。彼らの基本的スタンスは「私たちは大陸中国による台湾に対するあらゆる侮蔑、弾圧や武力による威嚇に反対する。…私たちが望むのは、人々の英知を集め、米中対抗の下でのより冷静で平和的な台湾独自の進むべき道を考え出すこと」であった。
 彼らは、「戦狼・中国」に対する批判を繰り返すのではなく、「冷静で平和的な台湾独自の道」を探求しているのである。私はそこに英知を見る。
 日本でも、対中戦争を煽り立てる勢力はいる。「中国は日本をミサイルで狙っている」、「座して死を待たないためには、日本からの攻撃対象はミサイルだけでなくていい。司令部でもいい」などというのである。「日本戦略研究フォーラム」の諸君である。こういう見解と対決しながら、私たちは、台湾海峡の平和を考えなければならないのである。

 中国共産党は「台湾問題を解決し、祖国の完全な統一を実現することは中国共産党の終始変わらぬ歴史的任務である」、「いわゆる『台湾独立』のたくらみは断固として粉砕する」としている。「独立のたくらみ」は必ず血を見ることになるであろう。
 他方、中国共産党の支配下に置かれることを拒否する勢力ももちろん存在する。台湾の民衆がどのような未来を選択するのか、「冷静で平和的な台湾独自の道」を実現して欲しいと思う。
 私たちも、この日本で、対中戦争を煽り立てる勢力との戦いに勝利しなければならない。台湾の民衆になくて、私たちが持っているのは日本国憲法である。私たちのたたかいは「非核と平和を一体としたたたかい」となるであろう。(2024年8月6日記)




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