▲TOP



BLOG

「核兵器廃絶」と憲法9条



2026.2.10

この国は危険水域に入った

総選挙の結果をどう見る
 今回の総選挙の特徴は、定数465の3分の2を超える316議席を獲得するという自民党の「大勝利」、現有議席を118減らしての49議席という中道の惨敗、「左翼」の衰退にある。
 「大勝利」と「」を付けたのは、比例の得票率は36.07%なのに議席占有率は67.07%であることにも着目してほしいからだ。小選挙区での得票率が49.1%なのに議席占有率は85.8%となる小選挙区制トリックのことだ。けれども、候補者名簿が足りなくて他党に割り振られた議席が14あったので、これを含めれば議席占有率は70.08%になるということも含めて考えれば「大勝利」という表現は大袈裟ではないであろう。自民党が単独で3分の2以上の議席を得たことはないので「歴史的大勝利」ともいえるであろう。
 中道は118議席を減らして49議席となった。118は自民党の増加分と同数である。中道の惨敗を物語る数字だ。その原因は立憲民主党が有権者の期待を裏切ったからだ。その端的な例が新潟だ。安保法制を違憲だとして共産党と協力した時、5小選挙区すべてで立憲は勝利していたが、今回は全滅である。公明党と組めば大丈夫だ。その見返りに比例の上位は公明党などと考えたのだろうけれど、それは余りにも「猿知恵」というものだろう。立憲の指導者たちの底の浅さと志の低さが露呈したのである。
 「左翼」とは共産党とれいわ新選組のことをいう。社民党も「左翼」だけれど元々衆議院に議席はないので、ここでは除外しておく。これまで両党合わせて16議席があったけれど5議席に減った。共産党は8から4に、れいわは8から1になった。両方とも減ったのだ。しかも、共産党の比例での得票率は5%を切って4.4%になった。ドイツであれば議席獲得要件(5%)を欠くことになる。ちなみに、れいわ新選組は2.9%、社民党は1.2%だ。「左翼」の衰退は明らかだ。
 これが、現時点での有権者の意思の表れだ。私は「日本社会は危険水域に入った」と受け止めている。「暴走」に拍車をかける勢力が巨大化し、ブレーキ役が衰退したからだ。

高市首相は「暴走」する
 この結果を受けて高市首相は「暴走」するであろう。「暴走」とは憲法や歴史などを無視して主観を優先する政治を意味している。彼女は「非核三原則」の見直しを言っていたし、台湾有事においては自衛隊の出動がありうるとしている。アメリカの核兵器や日本の武力強化が必要という立場だし、中国と事を構えることもあるとしているのだ。憲法の非軍事平和主義などは全く視野にない。自分に政治権力を付与している憲法を最高規範とは思っていないかのようである。
また、日本の戦争責任については「少なくとも私自身は、当事者とは言えない世代ですから、反省なんかしておりませんし、反省を求められるいわれもないと思っております。」としていた人でもある(1995年3月16日の衆議院外務委員会)。
 憲法を無視するとは最高規範に仇をなすということである。歴史を無視するとは「過去に目を閉ざす」ということなので「過ちを繰り返す」ということになる。
 こういう自らの立場をわきまえない無知で傲慢な人間が権力を持つと「暴走」する危険性は高くなる。自分を見失っているからである。そして、民衆のところには「貧乏神」や「死神」が訪れることになる。

高市首相とトランプ米国大統領との類似性
 その姿勢はトランプ大統領と酷似している。彼はあちこちで武力を行使し、外国の大統領夫妻まで拉致している。「国際法はいらない」と豪語する無法者である。加えて、核実験も再開するようだし「核兵器の現代化も進める」と「国家安全保障戦略」に書き込む核兵器依存論者でもある。彼は核兵器を含む武力で自らの欲望を満たそうとしているのだ。私は彼を「死神のパシリ」と見做している。
 高市首相は昨年10月の臨時国会の所信表明演説で次のように言っていた。「日米同盟は日本の外交・安全保障政策の基軸です。日米両国が直面する課題に対し、しっかりと連携し、日米同盟の抑止力・対処力を高めていきます。私自身、トランプ大統領が訪日される機会にお会いし、首脳同士の信頼関係を構築しつつ、日米関係を更なる高みに引き上げてまいります」。
 その高市首相について、トランプ大統領は、今回の総選挙は「日本の未来にとって極めて重要」としたうえで、高市氏を「力強く、賢明で、祖国を愛する指導者」と評価し、「高市首相は日本国民を決して失望させない!」と強く支持を訴えていた。私には、二人が「死神のパシリ」とそれに「かしづくメイド」のように見えてならない。

私が避けたいこと
 「トランプは稀代の無法者」と見做している私からすれば、それに取り入る高市早苗氏をこの国の首相としておくことはどうしても避けたい事態なのだ。核兵器も戦争もなくし、全世界の国民が恐怖と欠乏から免れ平和のうちに生活できるようにと希望している私からすれば、それをしたり顔で阻んでいる二人は「不倶戴天の敵」なのだ。
 けれども彼らは、選挙で選ばれた大統領であり、自民党に「歴史的勝利」をもたらす首相なのだ。私の意見など「蟷螂之斧」、「ごまめの歯ぎしり」というところだろう。
 けれども、黙っていることなど出来ないのだ。「平和を望むなら戦争に備えよ」、「平和を望むなら核兵器に依存せよ」というスローガンは「壊滅的人道上の結末」をもたらすかもしれないからだ。トランプ大統領の大言壮語や高市首相の作り笑いに騙されてはならない。(2026年2月10日記)




Copyright © KENICHI OKUBO LAW OFFICE